郷土料理受け継ぎたい ゴガツゴンチ向けあくまき作り 瀬戸内町網野子

2023年06月21日

地域

完成したあくまきを前によろこぶ老人クラブのメンバー=20日、瀬戸内町網野子

6月22日は旧暦の五月五日(ゴガツゴンチ)、端午の節句。瀬戸内町網野子(森幸尚区長、47世帯81人)の老人クラブ(泉潦子会長、32人)は18~20日、ゴガツゴンチに食べ、仏壇に供える餅菓子「あくまき」作りに挑戦した。

 

あくまきは「ちまき」とも呼ばれ、鹿児島地方で端午の節句で食べられる郷土菓子。もち米を木灰からとった灰汁(あく)に浸した後、数時間煮込んで作る。

 

網野子集落ではゴガツゴンチにショウブを各家の窓などに飾り、墓前にはマカヤ(茅)とショウブを供える。仏壇にもマカヤ、ショウブ、あくまき、シソラッキョウ(ラッキョウのシソ漬け)を供え、あくまきとシソラッキョウ、カボチャを食べるという。

 

泉会長(85)によると、あくまきを仏壇に供える家庭は多いが、ほとんどがスーパーで買うか親戚や知人からもらう。今年は作り方を知る人から老人クラブで学ぼうと、網野子集落出身の里山イヅ子さん(71)=同町勝浦=を招き、もち米を一晩浸すところから一緒に取り組んだ。

 

用意したもち米は10キロ。一晩水に浸したもち米を、奄美市内の量販店で購入した灰汁に4時間浸し、掬い上げたもち米を手縫いの布袋58袋分、一つずつ丁寧に詰めて3時間煮込み、完成させた。

 

20日は集会所で開かれた「サロンゆらおう会」に集まった高齢者たちに、粉黒糖をつけて提供。高齢者たちは「むる(とても)おいしい」「上手じゃが」と舌鼓を打った。90歳の女性は「もう作り方を忘れている。懐かしい味。残していってほしいね」と語った。

 

参加できなかった高齢者には全戸に宅配。泉会長は「喜んでもらえてとてもうれしい。私たちの世代でも作り方を見たことがない人がいる。これからもシマ(集落)の食文化を継承していきたい」と話した。